木炭は分解しない炭素の塊であり、炭化した時点で炭素を固定し、農地などに施用した時点で炭素を半永久的に隔離しますので温暖化防止の視点からはカーボンマイナスを実現する稀有な資材です。
炭素の固定
農業用の土壌改良資材に用いる木炭の炭材は、建設廃木材などの有害物質が含まれる可能性のある材料は不適であり、 クリーンな材料でなければいけないことが「日本木炭新用途協議会」が定めた「新用途木炭の用途別基準」に示されています。
炭素貯留 / カーボンマイナス
木炭重量の75%以上は半永久的に分解しない炭素の塊です。 木炭を農地に施用することは地球温暖化防止に貢献することにもなります。 その効果を高めるには木炭を作る熱分解の過程で発生する木ガスの20%を占めるメタンガス(CH4)等の温暖化ガスを最小限に抑えることが有効です。

融雪実験

カーボンオフセット農作物
木炭を農地に施用して炭素を地中隔離することで、農作業等に伴って発生するCO2量をオフセットすることができます。
追記 木炭の農地施用による炭素貯留が有効な手段であることが農水省の調査等で明らかにされてきていますが、 現在のところ、低炭素社会の実現に向けての主要な国策としては位置づけられていないので農地への木炭施用に対する地球温暖化防止対策としての国の優遇策もありません。 これは、日本の2010年度温室効果ガス総排出量は12億5,800万トンに対して、現在の木炭の農地施用量は年間1万トン程度であり、CO2削減量に換算すると2万トン程度に過ぎないためと考えられます。 まずは、現在の木炭施用量が10倍になり20万トン程度の排出削減量になれば、主要な国策として位置づけられる可能性が高いと考えています。
参考 国土面積の2/3を森林が占め、モンスーン型気候の日本は、自然環境に恵まれていると同時に森林バイオマスの成長が速く、 森林バイオマス資源に恵まれており年間1,900万m3が利用されています。しかし、ほぼ同量の1,800万m3/年が未利用で林地残材になっています。 林地残材を森林に放置すると、豪雨時の2次災害リスクが高くなると同時に、数十年かけて光合成で固定されたCO2が分解して大気に排出されるので、1,500万ton-CO2の発生源になっています。
これらの林地残材を木炭にすることで750万ton-CO2の炭素固定が可能であり、更に木炭を燃やさずに農地の土壌改良資材、緑化資材等として地中に貯留することでカーボンマイナス効果をもたらします。 すなわち、750万ton-CO2の木炭(250万ton)を農地の土壌改良資材に利用することは、木炭にしなかった場合の大気への排出(カーボンプラス)量750万ton-CO2と農地への半永久的隔離(カーボンマイナス) 量750万ton-CO2との差である1,500万ton-CO2/年の地球温暖化防止への貢献になります。因みに、日本のCO2総排出量1,200百万ton-CO2年の1.2%に相当します。
一方、国土の1/8は農地440万haであり、木炭250万ton/年の土壌改良資材利用に適合した面積を占めています。木炭は農産物の根圏環境を向上させる資材であり、保水性、排水性、微生物性の向上、 さらには、ミネラル分の供給、融雪促進などの効果が期待でき、「土づくり」と「付加価値農産物」の生産に効果があります。